ベトナム徒然草

約15年のベトナムでの社会人サバイバル経験をもって以降日々感じたこと、思うことを誰にともなく綴っています。

ベトナムの医療事情について

「ベトナムの医療事情について」などと壮大なテーマを掲げてしまったけれど、これは私のごく個人的な体験に基づく数年前のハナシであることをご理解の上で読んでいただければと思います。

まずベトナムの社会保険は、「社会保険」「医療保険」「失業保険」の3つで構成され、合計で会社負担は21.5%、本人負担は10.5%、その計算根拠は給料の「基本給」に対してなので基本給が大きいと保険料負担も大きくなるため、給与設定をするときに「基本給」を抑えておいて各種手当で給料をそれなりに支払う傾向があるといえます。

ベトナム企業で働く外国人は、労働許可証、会社との雇用契約があれば社会保険加入が義務となっていて、健康保険に関しては、加入時に既存のリストから一つの医療機関を指定しなければならず、その他の医療機関を受診した場合には保険適用はありません。なのでほとんど公的な健康保険を使ったことはなかったのが実情でした。

ベトナムで働く日本人の多くは東京海上などの保険会社の医療保険に加入、キャッシュレスで外資系クリニックで診療を受けることがほとんどですが、実はこういう高級(?)医療機関より、地元病院の方が設備も人材も充実していたりして、私はそちらを受診するのが常でした。

地元病院ではまず「支払い」が先です。瀕死の病人がいてもお金を払わない限り、放置されると聞いたことがあります。

金属で手を怪我して、会社のスタッフに付き添ってもらって会社近くの病院に行ったことがありますが、まずスタッフは、総合カウンセリングの申し込みとその費用支払いのために、大勢のベトナム人が我先にとごった返す受付に突進していきました。「列に並ぶ」という思想のない人々なので仕方ありません。

私はしばらく待つ覚悟で廊下の壁にもたれていたのですが、看護師さんにこっちへと脇のブースへ連れて行かれドクターの前に座ると、すでにパソコンの画面に私の名前が表示されていました。なんでわかったのか不思議でしたが、多分その病院に外国人がくることはほぼなかったので以前に来たのを覚えていてくれたようです。

ドクターは血が出てる私の手を見ながら、これは何針縫わなければいけない、あと破傷風注射もと議論が始まり、そうこうするうちにカウンセリングのための支払いを終えたスタッフが駆けつけてくれました。

すぐに診療項目とそれぞれの金額が書いた伝票が打ち出され、再度それを持って受付で支払い、支払い済みのハンコを押してもらった伝票をもって、レントゲン室だの、処置室だのへ行って、治療を受けます。傷を縫う針数まで指定されていました。あくまでも「支払い」先行ですね。

健康保険で指定した病院ではなかったので全て自費ですが、全部で数百円程度の支払いでした。

その他、もう起き上がれないほどの頭やら腕の激痛に襲われたときには、地元病院のMRI検査で首のヘルニアが判明したこともありますが、病気怪我の話は尽きなくなるのでこのあたりで。